晴れ時々雷雨。その拾弍

それは時間を少し遡って夏休み中のことだ。アイスでも食べるかとゲーセンに入った尚樹は、100円でハーゲンダッツのカップアイスを3つゲットして目についた公園に入った。出来るだけ日陰のベンチを探して腰を下ろす。
3つも取ってしまったが、流石に溶ける前に食べ切れる気がしなかった。
「イチゴとチョコとバニラか」
バリエーションとしては王道。チョコかなー、と悩んでいると誰かが隣に座った。視界の隅にうつる足の長さがえぐい。気にせず袋の中からペーパースプーンを取り出した。
「いいもの食べてるねぇ」
どこかで聞いた声だなと思って顔を上げる。なんとなくカカシを彷彿とさせる風貌に、尚樹は記憶をあさった。
とりあえずバニラかな、と余っているアイスを渡す。溶けてしまいそうだったので大変助かる。名前はなんだったか。
「その後指は見た?」
ひとこともなく差し出されたアイスを苦笑とともに受け取って、五条は先日の話題をふった。以前より宿儺の気配がずいぶんと薄くなっている。彼の生活圏内に指はあると踏んでいたのだが、違ったのだろうか。
五条の言葉に首を右に左に傾げて少年はいかにも今思い出したとばかりに口を開いた。
「ああ、そういえば神社にありましたよ。御神体っぽかったから手ぇ合わせておいたけど、ご利益ありますかね」
「御神体かぁ」
もともとは魔除けの一種として使われたものだから、そういう扱いがされていてもおかしくないか、と納得する。呪物には呪物。一時的に他の呪物を抑える効果はあったかもしれないが、愚かな行いだ。
「違う感じ?」
「んん〜、なんとも言えないなぁ。その神社では御神体の扱いなんだろうねぇ。どこの神社?」
口に含んだアイスはするりと舌の上で溶けてバニラの香料だけが鼻に残る。隣でチョコレート味らしいアイスを食べる少年は、五条の当然の質問に首を傾げていた。
「さあ?」
「ええ?教えてよ」
「いや、意地悪してる訳でなく。気が付いたらたどり着いてたから分からないんですよ」
「そんな事ある!?」
「ありますよぅ。なんでこんなとこいると思ってるんです? ここどこ? もしかして俺は今迷子なのでは?」
「ええ……」
思い出されるのは半月ほど前の彼らのやりとり。手を離したらいけない、というのははぐれないようにという意味だと思っていたのだが、もしかして違うのだろうか。しかし中学生にもなって自分の生活圏で迷子なんてなるか? というのが五条の疑問だ。
「じん君もはる君も合宿中だからお迎えはきません!」
「ええー……」
先日会った時は3人ともテニスラケットを持っていた。合宿というのはおそらく部活のだろう。
「尚樹は合宿行かないの?」
「園芸部に合宿はありません。水やり草抜き当番はあるけど」
「園芸部!? あ、もしかしてそれで夏休みなのに制服着てるの?」
「そう。今週は俺の当番です」
テニス部かと思ったらまさかの園芸部。どういうことなの。
そこでふと、五条は彼の顔をまじまじと見た。あまり気にしていなかったがどこかで見たことがあるではないか。スマホを取り出して水沢尚樹の名前を検索する。検索結果を見ればわざわざ記事を開かずとも、トップにWikipediaがご丁寧に顔写真付きで大まかな情報を提供してくれた。
思わず、めちゃくちゃ有名人じゃん、と言いそうになって口をつぐむ。今現在彼が園芸部であることから、利き腕が不自由であることはすぐに察せられたからだ。
検索結果にならぶ事故の文字。ニュースは一通りチェックしているので、興味のある分野ではないが記憶には残っている。
そんな五条に構わず尚樹は残りのアイスを食べ切っていた。
「まぁ思い出せる可能性は限りなく低いので、神社探します?」
尚樹の声に思考を戻す。テニスうんぬんは五条の関知するところではない。今は宿儺の指である。
「神社って言うか宿儺の指ね。覚えてないのにどうやって探すの?」
「じゃじゃーん!これです!倒しまーす」
カバンをごそごそして取り出した棒を、地面に立てたかと思うとその手を離した。ぱたっと倒れた棒は公園の入り口の方を指している。
生ぬるい風が停滞した空気をわずかにゆらした。
「ええ……そんな事やってるから迷子になるんじゃない?」
「大丈夫、7割くらい当たってますよ、たぶん」
「いや結構外れてるよね……しかも多分て……主観じゃん……」
「はい、あっちでーす」
こうやって自分の生活圏内で迷子になるわけか、と出会ってまだ2回目だが五条は深く納得した。この子人の話全然聞いてない。
「めちゃくちゃざっくり……。あー、もう。待って待って。取り敢えず地図見るから」
さっさと立ち上がって突き進もうとする尚樹を静止してスマホの地図アプリを立ち上げる。方角だけ分かっても、砂漠のど真ん中じゃないのだから真っ直ぐ進む事は不可能だ。
「でも神社って言ってもなぁ」
日本の神社は、実に8万社を超える。登録されていない小さなものも含めれば10万社は超えると言われているのだ。
つまり、方角だけというざっくりした情報ではいくつも引っかかってしまうわけで。しかもその方向も合っているか甚だ怪しい。むしろ、合っている可能性の方が低い、と五条は思っている。呪術的要素のない棒倒しなんて、子供の遊びだ。アイスはすでに空になってしまって、名残惜しくペーパースプーンを行儀悪くがじがじと噛む。さて、どうしたものか。
「先生ー、飲み物買ってきたよ」
五条にジャンケンで負けて飲み物を買いに行っていた虎杖悠仁が戻ってきた。他のメンバーにはまだ生きていることは教えていないので、今回は二人で行動しているのだが、今ちょっとだけ存在を忘れていた。
「あ、あったよ、すくなの指」
「えっ?」
尚樹の指先は先程と同じ方向、目の前に立つ悠仁を指している。特に呪物の気配は感じない。
「え、なに? 俺がどうかした? てか先生、その人誰?」
「あ、水沢尚樹です。通りすがりの中学生!」
自己紹介しながらここぞとばかりに尚樹は最後のアイスを押し付ける。渡に船とはまさにこのこと。
「え、ありがと! え、てか中学生!? 五条先生、中学生に何してるんすか!?」
もらったアイスに喜びながらも現状が理解できず戸惑う悠仁を器用だなぁ、と眺める。
「いやいや、誤解だから。宿儺の指のこと聞いてただけだから」
「え、水沢、なんか知ってんの?」
「知ってるというか……おにーさん持ってるでしょ? すくなの指」
「え、まぁ持ってるっつーか、食ったっつーか」
「マジか。あれ食べる人間いたんだ……ヤバいやつじゃん……」
「ヤバくねーし!」
「ちょ、ちょっと待って! 尚樹、悠仁が宿儺の指持ってるって分かるの!?」
あ、これよくない流れだ、と尚樹の面倒ごとセンサーが働いた。
「……えーと、五条先生。あ、ていうか五条先生は先生だったんだね。なんの先生なの?」
「俺の高専の先生だよ」
「こうせん……高校ってこと?」
「あ、高等専門学校ね。まあ高校って思っててもいいんじゃね?」
「まじか、この見た目で高校の先生……さては忍者ですね?」
「違うから、今そういう話じゃないから」
果てしなくずれていきそうな二人の会話を遮る。尚樹も悠仁も頭の方はちょっと残念な感じなので、放っておくと話があらぬ方向に飛んでいってしまうのが考えなくてもわかる。これは危ない組み合わせだ。
「あ、えーと、なんの話だったっけ。あ、そうそう、これはね、尋ね人ステッキと言いまして」
さきほど倒した棒を拾い上げて尚樹が真面目腐った顔で説明を始める。あまり表情が変わらない尚樹は、正直何を話していても真面目な顔をしているように見えるので、どこまで本気なのか五条ははかりかねた。
「尋ね人ステッキ……」
「尋ね人のいる方向を教えてくれるのです。なのでこの人がすくなさん」
「んん……絶妙に間違ってない……のか?」
取り敢えず話を逸らしてごまかす。尚樹は嘘はついてない。ただ嘘っぽく話しているだけだ。あとは如何にしてこの場から速やかに離脱するかだ。出来るだけ疑問を持たれないようにしたいところだが、さてどうしたものか。
「お兄さん、あれ食べてお腹大丈夫なの?」
「腹は大丈夫だったけど味が最悪」
「でしょうね……ちゃんとキレイキレイしてから食べた方がいいよ?」
「お、おお……」
そういう問題か? 洗ったところで大して変わらないのでは? と思ったが、まぁ言いたいことは分かる。ただ美味しいイチゴアイスを食べているときにはあまり出してほしくない話題だった。
さて、帰りましょうかねとベンチから立ち上がった尚樹の手を五条が掴む。逃げ損ねた。
「ねえ、神社の特徴とか覚えてないの?」
「……別に普通の神社だったと思いますけど。でも階段そこそこ登ったから高い位置にあるかも。境内から見える範囲には社務所がなかったから人気はなかったけど、本殿の中はちゃんと整ってたし、神主さんが常駐してる感じがしましたね。あ、拝殿はなかったです」
あともう一つ言えば、神社らしい隔離感とでもいうか、空気の違いを感じた。もちろん、そこまで教える気はない。あれはきっと、神社としてまだ生きているということなのだろう。
「高い位置ね……ねえ、本殿が開いてたの?」
「はい、開いてました」
「へぇ……めずらしい。なにか特別な日だったのかな?」
「んー、普通に平日だったけど。べつに神社の行事とか詳しくないから分かんないですね」
「ところで、そんな詳しくない尚樹君は、どうして平日に神社なんて行ったの?」
やっぱりカカシ先生に似てるんだよな、とわずかに肌をさす空気に尚樹は懐かしささえ覚えた。
「テスト期間中だったし、ちょうど目についたから神頼みに」
本当は、ただ涼しそうだったからというだけの理由だが。あのアイスのあたりはどうなっただろうか、と思考をそらす。ああ、そういえば。
「お札でぐるぐる巻きになってたんですよね、指」
「ん? まあそうだろうね。基本的には封印が施してあるから。それがどうかした?」
「ぺりっと」
「はがしたの!?」
「あ、やっぱりやばかったですかね?」
やばい、なんてレベルじゃない。だが、封印を解いたにしてはこの辺に呪霊が出たという話は聞かない。本来なら、封印が解かれてしまった時点で呪霊が集まってきてその場にいる人間は無事では済まないはずなのだ。
なぜ、目の前にいる少年は無傷なのか。
「……君、本当に見えてないの?」
「見えてないって、何がですか?」
「……それ、剥がした後、何か寄ってきたりしなかった?」
「んんー、別に何も居なかったと思うけど……神社だしね」
「なー、なんで神社だと何も居ないって言い切れんの?」
悠仁の疑問は五条も感じている事だった。神社だからといって、呪霊が出ないと言う事はない。結界がはってあるわけでもないし、今回のように御神体が呪物である可能性もある。
「鳥居はふたつあったから。階段の下と、境内に入る前。つまり、参道も境内も聖域の中。ついでに、封印を解く前に鈴は鳴らしてたから、あそこは現世じゃない」
だから、あそこには神様しかいないよ、と続いた尚樹の言葉は、五条には到底理解しがたい。
「……ねぇ、それどこの知識なの? 君、何者?」
「祖父の知識。小さい頃に言われたから、細かいところはちょっとあやふやなんだけど、確かそんな感じだったと思う」
あと別に普通の中学生ですよ、と五条の質問に律儀に答えて尚樹は去っていった。
「ねー、五条先生、どうすんの? この辺の神社回る?」
「条件に合う神社をしらみ潰しだな。その辺は伊地知にでも言って探してもらうさ。悠仁はなんか感じたりしないの? 多分そんなに遠い場所じゃないと思うんだけど」
「全然」
「そっか。封印は解けてるみたいだから、分かるかと思ったんだけど……神社のなかってそんなに分からないものなのかなぁ」
それか、何者か、例えば呪詛師らに回収されているのか。そちらの可能性の方が高いか。水沢尚樹の言ったことはただの概念的なものだ。神社の中は聖域とされているだけで、実際に結界がはってあるわけではない。コンビニよりも多い数の神社に、まともに結界などはってあるわけがないのだ。
そんなことよりも、五条としては彼が宿儺の指を悠仁が持っている、と言ったことの方が気になる。どこか確信を持った口調と態度。
「あいつさー、結構強そうな感じだったね」
「え?」
「だから、水沢。ひょろっとして見えるけど、体幹しっかりしてたし、重心もブレてない。格闘技とかやってんのかな?」
「……格闘技はわからないけど、有名な元テニスプレイヤーだよ」
「もと?」
「怪我で引退してる」
「……中学生なのにそれって」
「事故だって。この前会った時はテニスラケット持ってたから、全然出来ないって訳じゃないんだろうけど」
生死の境を彷徨った人間は、時に呪力に目覚めることがある。本人は、今まで見たことがないと言っていたが、事故自体最近のことだ。もしかしたら、本人がまだ気づいていないだけで本当は見えるのかもしれない。
悠仁は何も感じていないようだったが、五条からすれば何故本殿の中に入って、あまつさえ御神体と認識しながらその封印を解いたのか、理解できない。中学生の行いだ、そう言うこともあるかも知れないが、先日と今日、話した感じではそう言うイタズラをするタイプには見えない。何か、彼をそうさせる何かがあったと考えるほうがしっくりくる。
例えば、誰かにそれを頼まれた、とか。
尚樹は今時の中学生にしては驚くほど素直だ。初対面の五条と抵抗もなくラインを交換するくらいなのだから、札を剥がしてくれ、と頼まれたら剥がすのではないだろうか。
五条の推測は大筋では正しかったが、尚樹が聞いたらそこは嫌々だったし、可能なら剥がしたく無かった!と激しく主張しただろう。残念ながらその機会は訪れなかったが。


夏休みと言えども学校に行くからには制服を着ないといけない。園芸部は人数が少ないので、当番はそれなりに回ってくるのだ。それは別にかまわないのだが、何が面倒って、制服が面倒なのだ。なにより暑い。日傘を買うか真剣に悩んだところだ。流石地球温暖化。今までの世界でここが一番暑い。日陰に入っても暑いとはこれ如何に。
駅のホームも大して涼しくないな、と壁際の僅かな日陰に滑り込む。暑い暑いと思いつつも、カーディガンを羽織るのは、直射日光の方がつらいからだ。暑いより痛い。
尚樹に限らず、皆僅かな涼を求めて日陰に立っている。だから、尚樹の隣に人が並ぶのも不自然なことでは無かった。それが普通の人間なら。

なんだろうこの人、死臭がする。
カーディガンに隠れた指先で口と鼻を覆う。
俯いた視界にうつるのはほとんど目にしたことのない袈裟。そろりと視線を上げると、坊主なのに長髪な男と、つぎはぎだらけの男。知り合いらしい空気。
これ、見えていい人達なんだろうか。人間の形をしているけれど、人間には見えない。実態のあるものなのか、ないものなのか。凝をしていなくても見えるけれど。袈裟姿の男性は、実態がある、感じがする。日陰に立っているせいで、影が見えない。奥のつぎはぎの人は、よく出来た3D画像を見ているような不自然さがある。一見本物に見えるけど、生身にはない情報量の多さに視界がチラつく。
一か八か、スマホのカメラを起動した。
「お坊さん、写真撮ってもいいですか?」
「言いながらもう撮っちゃってるよね、君。だめだよ、無断撮影。いや、無断じゃないけどさ」
カメラを通した画面では写っているけれども、写した画像には袈裟を来た男しか映っていなかった。つまり、生きた人間には見えないけどこの男性は実物で、隣のつぎはぎの男は実態がない。いつの間に自分に霊感が生えたのか。いらないスキルだ。
「お坊さんて、電車とか乗るんですね」
「まぁ、普通に」
「そしてお坊さんはスマホ持ってるんですね……」
「……まぁ普通に」
「コスプレ?」
まぁその通りだけど。流石にそれを肯定するとただの痛い人なので、夏油は苦笑しながら否定した。
ホームにならんで電車を待つ少年は高校生くらいに見える。シャツの校章は、残念ながらカーディガンに隠れて見えなかった。
写真を撮られたのは少々まずい。SNS等に上げられて五条悟の目に着いたらせっかくの切り札がひとつ無くなってしまう。もちろん、これだけでどうこうなるわけではないが、動きにくくなる事は確かだ。
「ねえ、君。その写真は悪いけど消してもらえないかな?」
「あ、すみません。長髪のお坊さん珍しかったので。お兄さんイケメンだね」
「どうも」
はい、と渡されたスマホに困惑する。これをどうしろと。いや、それより無防備が過ぎるだろう。
「え?」
「お手数かけますけど、スマホ使い始めたの最近なんで、写真の消し方分からないんですよ。消してもらっていいですか?」
「ああ、そういう……今時珍しいね」
少し驚いたが、夏油としては都合が良かった。確実に写真を消したという担保が取れる。一覧に表示される画像は黒い猫のものばかり。その中に、ひとつ気になるものがある。一番下にある自分の写真を削除して、ついでにその写真を開いた。
やはり、宿儺の指。
封印された状態ではあるが、おそらく間違いない。
「ねぇ、この写真どうしたの?」
画面を少年にも見えるように傾ける。その表情は特に変わらない。
「これ、神社の御神体なんですよ。でもどこの神社で見たか忘れちゃって。中身はミイラの指なんですけど。あ、もしかしてお兄さんどこの神社か分かったり……ってお坊さんに聞くのアウトですかね……」
「ははは、それは構わないけど、残念ながらどこの神社かは分からないなぁ。むしろ、どこの神社か思い出したら教えて欲しいくらいだ」
「教えるのはいいですけど……えーと」
「夏油だよ」
「……げどう?」
「げ、と、う。わざとじゃないよね?」
「そんなまさか。げとうさんね。げとうさんはどこのお寺の人なの? 連絡ってお寺にすればいい感じ?」
「君の持ってるスマホは飾りかい? わざわざアナログな方法とらなくても番号教えるから。君の名前は?」
「お坊さん俗世に染まりすぎでは? 名前千石で登録しといてください」
スマホの扱いに慣れていないという本人の申告通り、ぽちぽちと拙い手つきで連絡先を登録したのを見届けて、ホームに滑り込んできた電車に乗り込んだ。次の電車だと言う少年は少し遠く、壁際から手を振っている。
めずらしく隣でおとなしくしていた真人が電車のドアに寄りかかった。
「あれ、俺のこと見えてたと思う?」
「さあ、どうかな。視線の感じだと見えてなさそうだったけど。それにしても、神社ね」
写真にばかり気を取られていた夏油は、まさかあの短い時間でラインに転送されていたとは考えもつかなかった。唯一の連絡手段として使用しているラインだけは、尚樹も多少扱えるのだ。